入居者紹介「Gorai’インタビュー」vol.56
総合探偵社フォーチュン広島 代表
重川 亮さん
【探偵業】

浮気やストーカー被害など、調査のプロ。
フォーチュン広島は、浮気調査やストーカー被害の調査のほか、付郵便送達(裁判所が相手方の住民票上住所地宛に送る郵便物)に相手方が居住しているかの調査や、弁護士や行政書士事務所との提携による夫婦問題、離婚問題等の解決に必要な証拠集めなど、さまざまな探偵業務を扱っている。
1995年にフォーチュンジャパンとして創業され、2002年に前代表から重川さんが承継。山口や四国などと暖簾を分け合い、「フォーチュン広島」とした。
「好きな仕事をしているのか?」と自問し、探偵に。
幼い頃は、漫画に興味があったという重川さん。
漫画にはストーリィが必要なため、たくさん読書もしたという。
漫画家には憧れたが、その一方で、(漫画家が実在するのはわかるが)探偵に会うという機会が無いため、
「探偵は、実在するのか?」
と、子ども心に興味は深まるばかりだった。
広島の高校から東京の専門学校へ進み、卒業後は、広告代理店に勤務。フジテレビの子会社で営業を務めるも、とある事件に巻き込まれて自問自答していた頃、子どもが生まれたこととも重なり、人生を見つめ直すことに。
「自分は今、好きな仕事をしているのか?」
幼い頃の気持ちを思い出し、改めて、
「探偵の世界が知りたくなった」
1997年、24歳の時だった。

「1,000万円くらいすぐ返せる!」と承継した探偵事務所。
同社の前身フォーチュンジャパンには、独立するための修行のつもりで入社した。ところが入社すぐに事業を継がないかと持ちかけられ、数か月後にはなんと、代表が借金を残して不在に。
財務状況はひどいものだった。
継ぐかどうか、正直、迷ったが、
「1,000万円くらいなら、すぐ返せるわ!」
と、腹をくくったという。
もし探偵業を0からスタートすれば、調査員や相談員の育成に時間もお金もかかる。その優秀な人財をノウハウと共に引き継ぐことを1,000万円の代償と考えたのだ。
5年で借金は完済したが、
「その間、なかなか家にも帰れなかった」
と、重川さん。
「72時間、寝ずに張り込んだこともある」
という。
あれから19年。今も走り続ける重川さん。
プライベートな時間はほとんどない。
「家族には、いないものだと思ってくれと伝えている」
と、探偵の仕事にかける思いは、熱い。

証拠がとれた瞬間が、気持ちいい。
仕事柄、スリリングなことに遭遇することもあるが、
胸打たれるエピソードもある。
2007年に英国在住の78歳男性から、60年前、終戦後の呉市に英国陸軍主計部隊として赴任していた際(当時19歳)に親しくしていた初恋の日本人女性(土産屋の女性17歳)の行方を探して欲しいとの依頼だった。2人は数年間、文通を続けていたが、56年前に消息が途絶えてしまったのだという。
「もう一度手紙を送るための住所を知りたい」
という思いに応え、イギリス人の通訳とインターネット経由のビデオ会議で何度もやりとりし、無事2人を引き合わすことができた。その模様は、イギリスや日本の新聞やテレビ番組で特集され、大きな反響を呼んだ。
また、弁護士からの依頼で、交通事故の目撃者を探し、裁判に勝てた時などは、最高。
「証拠がとれた瞬間が、気持ちいい」
だからこそ、過酷な仕事も頑張れる。

統合失調症のケアなど、社会問題にも取り組む。
現在、社員は1名。他の調査員は、山口・四国のグループ事務所と共有、必要に応じて動ける体制をつくっている。
統合失調症の患者がカモにされるという社会問題にも向き合い、そのケアにも取り組み、日本評論社『統合失調症のひろば』にはコラムも執筆。また、(一社)日本調査業協会正会員広島県支部の副支部長を務めるなど、探偵という仕事に関連するさまざまな課題に真摯に向き合う重川さん。
そんな重川さんが、また新たな事業に踏み出そうと、準備を始めている。利用者が、
「朝、爽快な気持ちで目覚めること」
を目的とするもので、この事業を進めるためには、組める専門家が必要だということで、SO@Rビジネスポートに入居していたメンバーを紹介させていただいた。
新たなビジネスに向け、益々、エネルギッシュな重川さん。
新事業のオープンが、今から楽しみだ。
インタビュアー : (株)ソアラサービス 代表取締役社長 牛来 千鶴
~ 重川さんへの取材後インタビュー ~