入居者紹介「Gorai’インタビュー」vol.44
株式会社ボイスカラー
市木 友子さん
【文字起こし・翻訳・データ入力】
文字起こしの仕事。
市木さんが、テープリライターの仕事を始めたのは18年前。
当時は、カセットテープに録音した音声をテキストにしていたので「文字起こしで」はなく「テープ起こし」、それを職業とする人はテープリライターと呼ばれていた。
現在、音源はICレコーダーに。足での操作が主流だったスタートやストップの操作も、現在はキーボードのワンクリックで実行できる。
需要は幅広い。テレビ番組や映像制作のための文字起こし、シンポジウムや講演会、座談会、パネルディスカッション等の文字起こし、取材テープの書き起こし、議事録、出版・執筆用原稿起こし、電話録音の書き起こしなど、さまざま。
翻訳は、日本語/英語/中国語/韓国語/ヒンディー語/サンスクリット語まで請け負っている。
一般的に文字起こしは、主婦の在宅ワーカーが夫の扶養の範囲内で仕事をしているケースが少なくない。しかし市木さんは、独立当初から、自ら文字起こしをしながらもリライターをネットワークし、請けた仕事を割り振るというエージェント的な役割を担ってきた。
現在、登録スタッフは50名に。メインクライアントは東京。スピードを武器に、単価の高い東京の仕事を請け、在宅ワーカーの仕事創出に一役かっている。
環境は、始めた後からついてくる。
3児の母。子どもたちが幼い頃には、封入の内職もした。決して良い条件とはいえなかったが、子育てしながら自宅でできる仕事は限られていた。 そんな中、「テープ起こし講座」を知り、受講。20人の中からたった2人の合格者に入って仕事をもらえるようになった。 しかし、スピードが求められる仕事。昼間は学校の役員や子どもの習い事の送り迎えに追われながら、要求に応えるには、深夜まで仕事をすることも茶飯事。自作のWebサイトを作り替えながら、東京を中心に徐々にクライアントを広げていった。 結果、スタート時にはお小遣い程度しかなかった収入が、数年後には、扶養を外すまでに。 その後、株式会社にし、売り上げは一気に倍に。 今では、 「利益も順調に右肩あがり」 と自信を持って言えるまでになった。
現在は、文字起こしの講座を自ら開催し、登録スタッフを育成している市木さん。
「始めた時には、今の姿は想像していなかった」
しかし、子どもが小さい頃から始め、”長くやっている”ということが認められて今がある。
講座を受講する主婦のかたの中には、せっかく目の前にチャンスがあっても、
「子どもの手が離れたら」「環境が揃ったらやる」
という人も少なくないが、
「思い立った時に、やればいい」
と、市木さん。新しいことを始めるのは大変だし、リスクがあるかもしれないが、環境は後からついてくる。
「仕事があるって、働けるって、どんなにありがたいことか」
子どもたちが成人した今、改めて実感しているという。
「その一歩が踏み出せない人の、背中を押せたらいいな」
経験者だからこそ、自信をもって言える言葉だ。
働くママたちのロールモデル。
市木さんの発案で始めたママフェスタ広島は、今年で8回目となる。各地で小さなハンドメイドの販売イベントは開催されていたが、地域が限定されれば自ずと出店者は同じ顔触れに。なかなか売れないという声を聴き、
「それなら大きな規模でやればいい」
と、思い立ったのがきっかけ。東京の大規模イベントを参考に企画し、無謀にも!?初回からNTTクレドホール(広島市中区基町)を貸し切ってのスタート。周囲には心配されたが、見事60ブースを埋め、成功させた。
2年目からは100ブースに。現在は4000人を集客するイベントに成長。ママたちの商品やサービスのアピール・販売を後押ししている。
そんな市木さんは今、財布の新ブランド立ち上げを目指している。
元々は、形状や素材、持ちやすさなど、自分自身の好みの財布を作ろうと思ってはじめた財布づくりだが、メイドインジャパンにこだわり、海外へも広げるのが夢。
働くママたちのロールモデルとして、益々活躍する市木さんの姿が目に浮かぶ。
インタビュアー : (株)ソアラサービス 代表取締役社長 牛来 千鶴
掲載日:2019年10月2日
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